中学受験をするかどうか。わが子が小さいうちから、そんな悩みに直面する家庭も多いはずです。
とくに私立中高一貫校への進学を考えると、教育費は一気に跳ね上がります。
もし、そのお金を投資に回したらどうなるのか?
この記事では、教育費と資産運用、どちらが将来にわたって価値を生むかを、数字で比べてみます。
私立中学と公立中学、どれだけお金が違う?
高校の授業料は無償化が進んでいるため、差が出るのは「中学受験の費用」と「私立中学校の学費等」だと仮定します。
- 中学受験の費用:約300万円(小4〜小6)
- 私立中学校の学費:約300万円(年100万円×3年間)
合計:約600万円の差
この600万円を「教育投資」とするのか、「金融投資」とするのか。それが今回の比較ポイントです。
インデックス投資のリターンはどれくらい期待できる?
中学受験にかける予定だった600万円を、15歳から50年間インデックスファンドに投資した場合、どのくらい増える可能性があるのでしょうか。
過去の実績から見て、米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動するファンドは、年7~10%程度のリターンが現実的な水準と考えられます。
もちろん、今後もこのペースで成長する保証はないので、少し控えめに見積もるなら年3~5%で想定をしてみます。
今回は、年3%、5%、7%、10%という4つのパターンで、600万円を50年間運用した場合の資産額をシミュレーションしてみました。
50年間の運用シミュレーション
年利 | 50年後の資産額 |
---|---|
3% | 約2,620万円 |
5% | 約6,900万円 |
7% | 約1億7,300万円 |
10% | 約7億600万円 |
利回り5%でも約7000万円、7%なら1億円超え。
10%で運用できれば、600万円が7億円を超える規模まで膨らむという結果になります。
もちろん、10%の成長がずっと続くとは限りませんが、過去の運用実績から見ても十分に視野に入る数字ではあります。
つまり、塾なしで公立高校に進み、その教育費分を投資に回すだけで、子どもの老後の資産形成をほぼ完了させられるレベルのリターンが期待できるということになります。
私立中高一貫校に通う意味とは?
では、私立中高一貫校に通う価値はどこにあるのでしょうか?
よく言われるのは、難関大学への進学実績の高さや手厚い進路指導といった教育環境の優位性です。
しかし、資産運用によって数千万円〜1億円以上の差がつく可能性を踏まえると、これらのメリットだけでは正当化しづらい側面も見えてきます。
進学実績が良い学校でも、実際にどのような進路を選び、どのような年収を得るかは、生徒自身の資質や努力に大きく依存します。
また、公立中高からであっても、大学進学や専門職・技術職など、平均年収を超える道に進むことは十分可能です。
反対に、私立に通ったからといって高収入になることが保障されているわけでもありません、平均年収を下回るケースも珍しくありません。
それでも私立中高一貫校に通う価値があるとすれば
それでも、私立中高一貫校に通う意味があるとすれば、それは単なる「学歴」や「進路実績」だけではなく、6年間という時間の使い方や環境そのものに価値を感じるかどうかにかかっています。
- 中高の6年間を、余裕あるカリキュラムで深い学びに集中できる
- 生徒同士の意識が高く、良い刺激を受けやすい
- 教師の質や進路面談、探究活動などで“思考力”や“選択力”が育つ
こうした環境に早い段階から子どもを置きたいと考えるかどうかが、判断の分かれ目かもしれません。
私立中高一貫教育の価値は、“経済的リターン”というよりも、“教育の質や体験価値への投資”という側面が強くなります。
子どもの将来に「経済的なゆとり」という選択肢も
中学受験にかける予定だった600万円を、子どもが15歳のときから長期で運用すれば、将来1億円を超える資産になる可能性もあります。
もちろん相場の状況によって変動はありますが、資産形成の土台としては十分なインパクトがあります。
このような資産が将来子ども自身の名義で残っていれば、大学卒業後や社会人になってから、
たとえば「収入よりもやりがいを重視した仕事を選ぶ」「起業に挑戦してみる」「働き方を柔軟に考える」など、選択肢の幅が広がるかもしれません。
必ずしも高収入を目指す必要がないという状況は、精神的なゆとりや早期の経済的自立にもつながっていく可能性があります。
中学受験という選択肢を取らないことで、その分の教育費をこうした資産形成に回す。
そういった形で、子どもの将来に備えるという考え方も一つの選択肢としてありえるのではないかと考えています。
我が家の考え方:無理なく、納得感のある選択を
我が家の場合は今のところ親の側から中学受験を強く勧める予定はありません。
勉強が好きで、本人が塾に通いたい・私立中学に行きたいと望むのであれば、その道を応援したいと思っています。
でも、「将来のために今、頑張って中学受験をしなさい」といったような形で、無理にレールを敷くつもりはありません。
それよりも大切にしたいのは、お金を正しく扱う力を育てることです。
中学受験をしない場合、浮いた費用は、インデックス投資で運用するつもりでいます。
ただし、この選択は親だけで完結させるものではなく、子ども自身も「投資による複利の効果」を理解し、運用をし続けることが前提だと考えています。
勉強と同じくらい、「お金を味方にする力」も、これからの時代を生きるうえで欠かせない力だと感じています。
子どもが自然とその感覚を身につけられるような環境を、家庭の中に作っていきたいと思っています。
子供が生まれて後に実践したことはこちらで共有していきます。
まとめ:教育費の使い方が、未来の形を変えるかもしれない
中学受験にかける費用は、ただの出費ではなく、「何に価値を置くか」という家族の選択そのものなのかもしれません。
子どもの教育環境に投資することも、将来の経済的なゆとりの土台を作ることも、どちらにも意味があります。そしてそのどちらも、子どもの人生の選択肢を広げる可能性を秘めているという点では共通しています。
私立中高一貫校でしか得られない経験や学びがある一方で、教育費を資産形成に回すことで得られる自由や安心もまた、無視できるものではありません。
大切なのは、どちらが“正解”かではなく、家族としてどちらを選べば納得できるか。その判断を、数字だけでなく、自分たちの価値観に照らして考えることなのではないでしょうか。
これから中学受験を検討するご家庭や、子どもの将来に向けて準備を始めるご家庭にとって、本記事が一つの考え方として参考になれば嬉しく思います。
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