年少扶養控除が復活したら?モデル家庭で試算してみた

家計管理

はじめに

「子どもがいると税金が軽くなる」と聞いたことがあるかもしれませんが、実は今の税制では、0〜15歳の子どもには所得税・住民税の控除(減税)がありません。
昔は「年少扶養控除」がありましたが、2010年に子ども手当(現・児童手当)を導入するタイミングで廃止されてしまいました。

2025年の参議院議員選挙では、国民民主党などの一部の政党がこの控除の復活を掲げています。
「もし復活したら、いくら得するのか?」モデル家庭で具体的に試算してみました。

年少扶養控除とは?

かんたんに言うと、所得税や住民税の計算前に、子ども1人あたり一定額を差し引ける制度です。

  • 現在(2025年)→ 0〜15歳の子は控除なし
  • 16〜18歳 →「一般扶養控除(所得税:38万円/住民税:33万円)」
  • 19〜22歳 →「特定扶養控除(所得税:63万円/住民税:45万円)」

つまり、赤ちゃんから中学生の間は「控除の恩恵がない」状態が続いています。
廃止する以前は以下の水準で控除がおこなわれていました。

  • 所得税控除:1人あたり38万円
  • 住民税控除:1人あたり33万円

モデル家庭の想定(3パターン)

今回は、以下のような3つのケースで試算してみました。

ケース夫の年収妻の年収子ども(0〜15歳)
A600万円300万円2人(7歳・4歳)
B800万円300万円2人(7歳・4歳)
C1000万円300万円2人(7歳・4歳)

※控除は年収が高い方(夫)に適用と仮定

所得税・住民税の仕組みをざっくりおさらい

  • 税金は「課税所得 × 税率」で決まります。
  • 「所得(収入)」から控除を差し引いたものが「課税所得」になります。
  • 所得税は年収に応じて5%〜45%まで段階的に変動(超過累進課税)
  • 住民税は一律10%
  • その他の控除もあるので、必ずしもモデル通りになるとは限りません。

試算結果:年少扶養控除が復活した場合の減税額

ケース所得税率所得税の減税額住民税の減税額合計
A(600万)10%38万×2×10% = 約7.6万円33万×2×10% = 約6.6万円約14.2万円
B(800万)20%38万×2×20% = 約15.2万円33万×2×10% = 約6.6万円約21.8万円
C(1000万)23%38万×2×23% = 約17.5万円33万×2×10% = 約6.6万円約24.1万円

控除は「稼いでる人ほど」効果が大きい

これが控除制度の特徴です。
同じ38万円の控除でも、税率が高い人ほど「引かれる税金の額」が大きくなる仕組みです。

つまり、児童手当などの一律給付と比べると、中〜高所得層の家庭にとって年少控除復活はかなりインパクトがあります

児童手当だといくらもらえるか?

年少扶養控除のような「控除」は、年収が高い人ほど減税額が大きくなるしくみです。
一方、児童手当は年収に応じて金額が決まる現金支給の制度です。

たとえば、今回のモデル家庭(子ども2人・7歳と4歳)では、3歳以上から高校生までは月1万円の支給なので、

児童手当として月1万円 × 2人 × 12ヶ月=年間24万円が支給されます。

一方、年少扶養控除が復活した場合のモデルケースだと減税額は、約14万円〜24万円
さらに年収の高い人(税率の高い人)であれば、

つまり、「手当(給付)」か、「控除(減税)」か、の違いは稼いでいる方のの年収によってお得感が変わってきます。

児童手当はそのままに、年少扶養控除も復活すれば、子育て世帯としてはうれしい限りです!

政党のスタンス(2025年7月時点)

政党名年少控除の復活コメント
国民民主党児童手当の拡充+控除復活を明記
社会民主党子育て支援の一環として復活を明記
公明党年少扶養控除の「見直し」に言及、復活は未明示
自民・立憲・維新など年少扶養控除の復活には言及なし

まとめ:選挙に行けば、子育てがしやすくなるかも

児童手当は年収にかかわらず、定額の給付がなされます。
そのため、低所得者には恩恵が大きく、頑張って稼いでいる人はやや報われない制度設計になっています。
所得の再分配という視点からは一定の合理性はありますが、子育ても仕事もどっちも頑張ろう!というインセンティブにはなりにくいですね。

対して、年少扶養控除は稼ぐほど減税額が増える仕組みになっています。
とくに年収は高いけど生活費もかかる東京に住んでいる人にはありがたい制度かもしれません。

今回の選挙では、「税の仕組み」でも支援をしてくれる政党はどこなのか?を
少し気にしてみるだけでも、未来の家計が変わるかもしれませんね。

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